現代社会を生き抜く術を考える

考察と日記を織り交ぜたブログです。

「何もない」の意味

「何もない」という言葉は、色々な文脈で用いられる。

よくあるのは、特定の地域(とりわけ、「田舎」とされる地域)を評する時に、「何もない」と表現されるパターンだ。

このような場合は、たいてい「都会よりも劣っている地域」という意味合いを持っていることが多い。

確かに世間で「秘境」とされるような地域や、人が住んでいる気配がほとんどないような場所について、「何もない」と表現するのは何ら不思議なことではないと思う。

しかし、中には人が普通に住んでいて、商業施設があるような場所すら「何もない」と言う人たちがいる。

不思議だ。私は、彼らの真意というものをしばらく考えてみた。

辿り着いた結論は、彼らが「何もない」と評する地域には、「大都会」とされる地域には間違いなく存在しているであろう商業施設や、娯楽施設が存在しない、ということである。

つまり、むやみやたらに「何もない」という言葉を使う人達というのは、たとえお店や人家があったとしても、そこに「映画館」や「ゲームセンター」、「デパート」、「有名飲食チェーン」など、都会には確実にあるであろう施設がなければ、容赦なく「何もない」と判断してしまうのだと思う。

これは、非常に感性が貧しいと言わざるを得ないというか、都会に溢れる商業主義に完全に毒されていると思っている。

「何もない」が当たり前の地域で育った私からすれば、東京都心のような場所は「何かが在り過ぎる」と思えてならない。

もはや人間が人間らしく生きられる領域からは大きく外れ、キャパシティーを超えている。この異常な状態に気づかぬまま、見知らぬ地域を「何もない」と貶すことの愚かさというのを、都会で生を受けた人々には早く知って欲しいものである。