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考察と日記を織り交ぜたブログです。

大学オンライン授業のメリットデメリットを考える

最近何かと話題のオンライン授業を考える。

 Covid-19*1流行に伴い、2020年春学期は原則として全ての授業をオンラインで実施すると表明している大学が増えつつある。

Covid-19がいつ頃収束するかについては未だ不透明であるばかりか、大学という大勢の人が集まる環境では「クラスター」が発生しかねない。

かといってCovid-19が収まるまで大学を休みにしておくわけにもいかない。

このような理由から大学のオンライン授業導入は合理的な判断だと言えるが、物事にはメリット、デメリットが付き物である。

今回は学生にとってのオンライン授業(大学)のメリット、デメリットについて改めて考えたい。

 

オンライン授業のメリット①自宅で受講ができる→機会費用や交通費等が削減される

通常通りの対面授業であればもちろん大学まで出向かなければ授業を受けることはできない。

大学へ出向くには大学最寄り駅、最寄りバス停等に行くための交通費や時間がかかる。

交通費や時間に加えて、「機会費用」もかかってくる。

機会費用というのはたとえば大学で授業を受ける代わりにバイトをしていれば給料をもらうことができるが、授業を受けることでバイトで得られたであろう利益を失っているという考えであり、経済学で頻繫に使われている。

大学へ通いに行くことにも機会費用が生じていると考えられる。

たとえば自宅から大学の最寄り駅まで電車で片道1時間かかる場合を考えると、往復2時間かかる自宅から大学までの移動時間を勉強に使うことができればよりたくさんのことを学習することができるだろう。*2

オンライン授業であればこのような機会費用や交通費がかからないため、より効率的な学習が可能になるのではないだろうか。

オンライン授業のメリット②周りの学生を気にせずに取り組める

通常の授業であれば自分以外にも多くの学生が教室に集まり、授業を受けることになる。

学生が皆熱心に集中して授業に取り組んでいれば良いのだが、学生の中には授業中でもお構いなく私語をしたりゲームをしたりと、まるで自分の家にいるかのように行動する者もいる。

筆者の本音としてはこのような学生は教室から退出させられるべきだと思うが、教員によっては知らぬ顔で授業を続ける人も少なくない。

オンライン授業であれば当然ながら周りに学生はいないため、一人で好きなように授業を受けることができる。

ただ自宅で授業を受けるという環境がしっかり整っているというのが前提である。

たとえば何らかの理由でなかなか静かな場所を確保できないような環境であればまた別のストレスを生む可能性がある。

オンライン授業のメリット③時間を気にせず授業を受けられる

通常の授業ではもちろん授業が行われる時間に教室に行かなければ授業を受けることはできない。

ツテが豊富な学生であればともかく、大学ぼっちの場合授業に行きそびれることで情報が不足してしまうこともある、

オンライン授業であれば(リアルタイムで受ける必要のあるものは別だが)時間を気にせずいつでも好きな時間に授業を受けることができる。

オンライン授業のデメリット①授業を受ける環境が必要

オンライン授業を受ける場合、パソコンやスマートフォンタブレットといった通信機器や、インターネット回線が必要不可欠となる。

ただ大学の教室の中に入ることができれば誰でも(たとえその大学の学生でなくとも)

授業が受けられる対面授業とは大きく異なる点である。

なお環境というのはパソコンやインターネット回線といった、「授業にアクセスするための環境」だけでなく、「集中して授業を受けるための環境」も含まれる。

図書館や自習室といった施設はCovid-19流行により閉鎖されているところも多いので、

集中できる環境を作るということは今まで以上に重要になっている。

オンライン授業のデメリット②授業の質が下がる可能性がある

この記事を書いている2020年春はCovid-19流行により急遽オンライン授業システムを構築している大学が非常に多いため、大学や科目によっては授業の質が下がっているという声も耳にする。

ツイッターでオンライン授業に関する書き込みを調べてみると、「授業時間がとても短い」、「指定された本を読んでレポートを書くだけという授業もある」などオンライン授業の質に対する疑念の声が相次いでいる。

ただ単位を取りたいだけの学生にとってはむしろ好都合なのかもしれないが、莫大な金額を支払って授業を受けている以上、対面授業と比べ著しく授業の質が落ちるというのは由々しき問題ではないだろうか。

授業の質は教員によって大きく変わる面があることは当然のことだが、大学側が学生に対して学費の返還、もしくは減額を求められることも考えねばならない。

オンライン授業のデメリット③少人数で授業を行いにくい?

ZoomやWebexといったオンラインで会議を行うことができるアプリケーションがある。

大学オンライン授業でもこのようなアプリケーションが使われることが増えてくると思われるが、如何せんオンラインでのやり取りとなるため、対面授業よりもコミュニケーションのスピードが遅くなるのではないかという懸念がある。

それだけでなくウェブカメラやマイクといったオンライン会議に不可欠な設備を導入する必要もあるため、導入費用がかかるというデメリットもある。

オンライン授業がメインになれば、大学の人気は下がるのでは?

今やYouTube等を使えば国内外のさまざまな大学の講義映像を無料で視聴することができる。

つまり極論ではあるがただ学ぶだけであればインターネットだけで事足りてしまうのである。

それなのにもかかわらず日本の大学進学率がここまで高いのは、「大学卒」という学歴の価値が日本国内で依然として高いということや、大学が「遊び場」としてとらえられてしまっているという理由があるように思える。

大学(とりわけ文系は)=就職予備校、遊ぶ所という認識が浸透してしまっている現代日本では、ただリモートで勉強をするだけのオンライン授業は受けないのではないだろうか。

今回のCovid-19流行を機に、大学に対する認識が変われば良いが、そうそう人々の考えが変わることもないだろう。

おそらくCovid-19流行が収まれば大学は何事もなかったかのようにオンライン授業を終了し、対面授業に戻るのであろうが、今後は大学教育の意義や、「大学」とはどのような場所なのかをより真剣に考える必要があるのではないだろうか。

 

*1:いわゆる新型コロナウイルスのこと。

*2:もちろん、スマホや本などを活用すれば電車内でもある程度勉強をすることは可能であるため、本当に機会費用になるのかは疑問点もある。