今、世の大学ではオンライン授業があちこちで行われているが、最近不穏な話を耳にする。
それは、期末試験期間、試験で対面で行われる大学が出ている、という話である。
学生数が少なく、既に対面での授業が日常的に行われている大学であればともかく、今ほとんどの授業でオンライン講義を行っている大学が対面試験を行うというのは、どうにも矛盾していると思われてならない。
期末試験期間は真冬なわけで・・・
一般的に、秋学期の試験期間は12月~2月頃に集中している。この時期は北半球に位置している日本では当然ながら冬である。
冬というと今問題となっているCOVID-19だけでなく、季節性の感染症も流行する。
それに加えて冬は気温が低く、ましてや東京、大阪など多くの大都市を抱える太平洋側では湿度も低くなるため、ますます流行が進むのではないかという懸念がある。
現に、既に雪が降るほどの寒さになっている北海道では、ここ数日COVID-19の陽性者数が急増しており、東京や大阪と肩を並べるほどの数になっている。
12月下旬あたりになれば、東京でも気温が一桁程度になることもあり、場合によっては雪が降ることもあるだろう。
このような時期に、わざわざ対面試験を行う意義がどこにあるのだろうか。
学生は、「授業」よりも「試験」に殺到する
当たり前のことだが、普段の授業と期末試験とで教室に来ている学生の数を比較すると、試験の時の方が圧倒的に人が多い。
これは、授業は休んでも単位を落とさずに済む場合が多いが、試験はサボってしまえばほぼ確実に単位を落とすことにつながるからである。
したがって、期末試験は多くの学生がキャンパスに集まることが予想される。
たとえ学生皆がマスクを着用していたとしても、それには限界がある。
試験の合間などには談笑を楽しむ学生が少なからず出てくるだろうし、何より試験をキャンパスで実施することで、学生は他学生と集まる機会を得てしまっている。
試験が終われば、やれメシだやれカラオケだ、などと動く学生も少なくないだろう、学生同士での「密」が生まれかねない。
そもそも、今なぜオンライン授業を行っているのか?
今現在は都市部を中心に、少人数で行える授業を除いてオンラインで授業を実施している大学が多いと思われる。
ではなぜオンライン授業を行っているのだろうか?
その目的は、COVID-19の感染拡大防止に他ならない。
ではなぜ試験は対面で行うことになるのだろうか?、そのロジックがいまいち分からない。
試験は一回だけだから良いのか、試験の方が公正に成績を評価できるから良いのか、少なくとも「今」は感染拡大が落ち着いているから良いのか、大学受験や資格試験は普通に試験をやっている(やる予定)から良いのか・・・
対面試験実施について何らかの論理が働いているのは確かだろうが、冬の流行具合によっては大きな損失が出かねない、リスキーな選択ではないだろうか。