現代社会を生き抜く術を考える

考察と日記を織り交ぜたブログです。

Declare a State of Emergency = falseの世界

最近、国内各地の大学がこの秋学期の対面試験実施を発表し、SNS上では学生たちによる悲哀や嘆息の声が上がっている。

 現在、日本国内では依然としてCOVID-19が猛威を振るっている。陽性者数は爆増こそしていないものの、第一波、第二波と比べると流行は激しく、一部医療機関では機能が麻痺しつつあるところもある。

それに加えて、今後初冬から真冬へと季節が移行する日本では、より多くの陽性者が出ることも十分考えられる。このような点から見ても、現在の国内におけるCOVID-19の流行は短期間で収まるものと考えることは難しく、医療機関に対して長期間ストレスが加わることを考慮すれば、季節が進むにつれ状況はさらに悪化すると考えることもできる。

そんな中、数多くの都市部に位置する大学が対面試験実施を強行しようとしている。もはや、第一波の頃を上回るほど深刻な状況になっているのにも関わらず、何故このようなことを行うのだろうか。

対面試験実施の理由を考える

1つ目の要因として、文部科学省が対面授業実施を強く望んでいるという点が挙げられる。結局対面授業自体を実施する科目はそれほど多くはなかったが、対面試験実施=対面授業実施と見なされるのであれば、大学側は対面試験をやることに対してそれほど消極的にはならないであろう。なぜなら、対面授業を自粛することで感染リスクを抑えつつ、対面試験は実施して「形式上は」対面授業を行ったことにできるからである。

国からの補助金が多かれ少なかれ入っている大学側にとっては、国の意向を100%無視することも難しいのが現実だと思われる。

2つ目の要因として、「クラスター」の発生条件が次第に明らかになってきたという点が挙げられる。一気に数人、もしくは数十人もの数がウイルスに感染する「クラスター」は、COVID-19流行開始直後はその発生条件が不明確であった。しかし、さまざまな事例を研究するにつれて、クラスターは、人の飛沫が飛び交う環境下で発生しやすいことが分かった。この発見に基づいて考えれば、学生皆が一切喋ることがない「試験」はクラスターが発生しずらい環境であると言える。

ただ、試験会場でクラスターが発生しないとしても、学生の感染リスクが極小であるとは言えない。学生自身の行動に委ねられている部分もあるが、試験終了後学生が飲食店やカラオケボックス等で他人と交流すればするほど、感染リスクやクラスターに巻き込まれるリスクは高まる。対面試験実施に伴って、このような付随的なリスクを生む可能性がある。

3つ目の要因は、おそらく最も根拠のあるものだと思われる。それは、「緊急事態宣言」が現時点で発表されていないという点である。

今年4月上旬に発表された緊急事態宣言は、法的拘束力は弱かったものの、国民に大きな衝撃を与えた。その衝撃は大学にも伝わり、学校側は授業のオンライン化を決定した。

緊急事態宣言が5月に解除されて以来、同様の宣言は一度も出されていない。これは推測だが、大学側が対面試験を実施するか否かを考える上で最も重視している指標が、「緊急事態宣言の有無」だと思われる。おそらく、この12月、もしくは来年1月に緊急事態宣言が発表されることがあれば、多くの大学は対面試験実施を中止すると考えられる。

この世界は、TrueとFalseで出来ている

ここまできて、ようやくこの記事タイトルの回収となる。プログラミングの世界では、「真か偽か」を定義する「ブーリアン変数」というものがある。ブーリアン変数は、それが真ならば"true"、偽ならば"false"となる。

記事タイトルの"Declare a State of Emergency"は、英語で、「緊急事態宣言」を意味する。そして今は、それが発表されていないのだから、値は当然"false"になる。*1

緊急事態宣言の有無だけで大きく情勢が変わる、この世界をプログラミングの要素を入れて表現してみたのである。

 

*1:実際にプログラミングで変数を作成する場合は、名前にスペース(空白)を入れることはできないので、"Declare a State of Emergency"ではなく、"DeclareaStateofEmergency"などと書くことになる。