現代社会を生き抜く術を考える

考察と日記を織り交ぜたブログです。

奨学金で「多額の借金」を背負わないために必要なこと

奨学金」は、家庭の経済状況が安定していない人に教育を受ける機会を与える素晴らしい制度だと言えるが、現在の日本の奨学金は、そのほとんどが「教育ローン」となっている。

 このような「貸与型」奨学金の場合、いずれは借りた額を返済しなければならない。

最近では奨学金の返済が家計を圧迫している、といった問題点が浮上しているが、いくら問題点があろうとも、家にお金がない人はこれを利用せざるを得ない。

そこで、この記事では、奨学金制度を賢く、合理的に使うために役立つかもしれないことをいくつか列挙していこうと思う。

必要なこと①(進学先を決める段階)家計の経済状況を把握しておく

大学進学前に、自分の家計の経済状況を把握しておこう。両親にどれだけの収入があるのか、貯金は如何ほどあるかといった情報を確認することで、大学へ進学することは経済的に可能か、難しい場合はどのくらい奨学金を借りる必要がありそうかを明らかにすることが重要である。

これが曖昧な状態であると、大学に入学して初めて自分の家にお金がないことを知り、予想以上の額の奨学金を借りるはめになってしまうこともあり得る。

お金に関する話題なので気が引けるかもしれないが、一度は家族会議のようなものを開き、「進学とお金」についてしっかりと意見交換や情報の確認をし、コンセンサスを得ることをおすすめする。

必要なこと②(進学先を決める段階)一人暮らしが必要か否かを確認する

一人暮らしには家賃、水道光熱費など多くのコストがかかる。地域によっても異なるが、家賃が比較的高い首都圏の一般的な賃貸住宅に住む場合、年間で70万~100万円以上ものお金が必要になるだろう。(もちろん家賃が非常に安い賃貸や、学生寮等に住む場合は費用を更に減らすことも可能)

実家から進学予定の大学に通学できるのであれば良いが、地方に住んでいる学生はそうもいかないだろう。

一人暮らしをするならば学費の安い国公立大学へ進学する場合でも、莫大な額のお金が必要になる。学費を年間60万円、一人暮らしによって発生する生活費を年間80万円としても、年間で140万円(4年間で560万円)ものお金がかかる。学費がより高い私大であれば、必要な金額はより増えることだろう。

進学先を決定する際はこのように学費や生活費を具体的に算出し、どれほどの経済的負担が伸し掛かるかを家族全員で理解しておくことが求められる。

必要なこと③使えそうな奨学金制度を逐一調べる

世の中には、「返済不要の」奨学金がある。これは「給付型奨学金」と呼ばれることが多い。

2021年現在、数多くの組織や大学が給付型奨学金制度を運営している。給付型というと支給条件が難しいのではないか、成績が抜群に優秀でなければ無理なのでは?と思う人もいるかもしれないが、そういうわけでもない。

特に大学が独自に用意している給付型奨学金は、採用人数が多く比較的容易に採用されやすい。大学内の掲示板や学生向けポータルサイトなどで奨学金の募集に関する情報が公開されることが多いので、頻繁にチェックしておくことをおすすめする。

大学が独自に用意している奨学金には、「新入生限定」のものもあるため注意が必要だ。例として、慶應義塾大学の「学問のすゝめ奨学金」が挙げられる。この手の奨学金は入学前に申し込みを完了する必要がある。

機会を逸してしまうと、家計状況や成績に関係なく奨学金を得るチャンスを逃してしまうことになるので、自分が進学予定の大学がどのような給付型奨学金制度を設けているかを「念入りに」調べておくことが重要だ。

必要なこと④学生支援機構奨学金について知っておく

奨学金というと、「日本学生支援機構(以下、JASSO)」が有名である。JASSOは給付型、貸与型などさまざまなタイプの奨学金を用意しており、採用人数も多いため、奨学金を借りる人の多くがJASSOに関わることになると思う。

JASSOが用意している奨学金のタイプは、主に3つある。①給付型(返済不要)②貸与型(無利子)③貸与型(有利子)の3つだ。

この3つで最も経済的負担を軽くできるのは当然ながら①給付型だが、支給条件を満たす必要がある。②貸与型(無利子)にもある程度条件が存在するため、①②どちらにも採用されなかった場合は、③貸与型(有利子)を利用せざるを得ない。

有利子というと、「消費者金融」が頭に浮かぶ人もいるかもしれないが、過度な心配は不要だ。

JASSOが設定している利子は非常に低く、消費者金融はおろか、銀行の住宅ローンよりも安い場合もある。借りた金額が莫大に膨れ上がってしまう、ということはまずないので、安心して欲しい。(心配な場合はJASSOホームページなどで返済シミュレーションをしてみると良い)

必要なこと⑤国による修学支援制度について調べておく

2020(令和2)年度から、国は新しい修学支援制度を導入した。文部科学省の専用サイトを見れば詳しいことは分かるが、簡単に言うと、収入が少ない世帯であれば、学費の減免や給付型奨学金の受給ができるという制度である。

大学側による案内もあるかと思うが、応募にはやや手間がかかるため、早めに制度の概要や応募手順を確認、理解しておくことが大事だ。

必要なこと⑥無駄な出費をしないよう注意する、積極的に貯金をする

大学入学後は、遊び、サークルなど、色々な誘惑があり、同時にお金もかかる。一度限りの大学生活を謳歌することも当然大事ではあるが、卒業後も考え、贅沢をしたり、湯水のようにお金を使ったりといった行為は自粛すべきだろう。

奨学金を借りれば自分の銀行口座に結構な額のお金が舞い込んでくるかもしれない。だがそれはバイトの収入でもなければお小遣いでもない、紛れもない「借金」なのだ。借りたお金は必要な時にのみ活用し、余った分はきちんと貯蓄しておくことをおすすめする。

番外編:お金について勉強しておく

最後に番外編として、奨学金とはあまり関係がないが、大学在学中にお金について勉強しておくことを勧めたい。

具体的には資産運用、年金などについてである。大学での金融についての科目で学べるかもしれないが、自分で勉強したい場合は図書館やインターネットなどを使ってみよう。(ただし個人のブログやホームページの情報は100%正しいわけではないことが多いので、すぐ鵜呑みにすることはNG)

FXや先物、暗号通貨など、リスクがやや高い取引に挑戦することはあまり勧めないが、投資信託など、少額から取引できる投資についてはリスクが少ないため、勉強を兼ねて試しにやってみるのも悪くない。

年金については、学生のための「学生納付特例制度」という制度があるため、自分の国民年金を親が支払う予定がなく、自分が支払う余裕がない場合は、活用することを考えてみて欲しい。